消費税の課税事業者の判定について【川崎市の会計士事務所 馬渕竜太公認会計士事務所】

query_builder 2021/06/05
税務
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 ホームページをご覧いただきありがとうございます。川崎市を拠点に活動しております、公認会計士・税理士の馬渕です。


 今回は私が税務顧問をさせていただいておりますお客様から頂きました消費税の質問について取り上げさせていただきます。消費税は身近な税金の一種になりますが、フリーランスの方や法人の経営者の立場になると意外と見落としがちな論点もありますので、少しでもご参考になれば幸いです。


■消費税の課税事業者とは?

 今回いただきました質問は、「消費税の納税義務が生じる課税事業者とは?」というものです。そもそも、消費税はモノやサービスを提供する事業者がお客様が購入時に支払う消費税をお預かりして納付するというものになりますので、基本的には「消費税=お客様から預かった税金」であり、事業者は納付することになります。しかし、全事業者が納付しなければならないというわけではなく、一定の要件を満たした事業者が消費税の納税義務が生じることになります。この消費税の納税義務の一定要件を満たした事業者のことを「課税事業者」と呼び、反対に要件を満たさずに消費税の納税義務がない事業者のことを「免税事業者」と呼びます。


■消費税の納税義務が生じる一定の要件とは?

 では、課税事業者となる一定の要件とは何でしょうか。それは、以下2つの要件のどちらかを満たす場合に、その事業年度から課税事業者となることになります。

 

 ①基準期間における課税売上高が1,000万円超となること

 ②特定期間における課税売上高が1,000万円超、又は給与支払額が1,000万円超となること

 

 上記のポイントは、判定対象となる期間が定められていることです。①にある基準期間とは、「判定対象となる事業年度の前々事業年度」のこと指し、②にある特定期間とは、「判定対象となる事業年度の前事業年度開始日から6ヶ月間」のことを指します。例えば、3月決算の会社で2022年3月期の課税事業者の判定を行う場合、以下の通りに考えることになります。

 

 ①基準期間:

  判定対象となる事業年年度(2022年3月期)の前々事業年度(2期前なので2020年3月期)

 →2020年3月期の課税売上高が1,000万円超であれば、2022年3月期は課税事業者に該当

 ②特定期間

  判定対象となる事業年年度(2022年3月期)の前事業年度(1期前なので2021年3月期)

  開始日から6ヶ月(2020年4月~9月まで)

 →2020年4月~9月までの課税売上高が1,000万円超、又は給与支払額が1,000万円超であれば、2022年3月期は課税事業者に該当


 ちなみに、フリーランスの場合は暦年で判定されるため、特定期間は前年の1~6月の課税売上高又は給与支払額で判定されます。


■課税事業者の判定における留意点

 課税事業者の判定における留意点としては以下の事項が挙げられます。


・開業した年又は設立した事業年度は自動的に免税事業者となる

 開業した年又は設立した事業年度については、基準期間や特定期間が存在しないため、自動的に免税事業者になります。但し、自ら課税事業者になった方がお得(消費税の還付を受けられる)となる場合もあり、その場合は課税事業者になる届出書を提出することで課税事業者となることができます。


・②特定期間での判定の選択性

 ②特定期間での判定の場合、課税売上高1,000万円超又は給与支払額1,000万円超の2つの判定基準があります。これは、どちらかを満たした場合に課税事業者になるというわけではなく、判定する際にどちらの基準を使うか選択できるというものになります。つまり、特定期間で課税売上高が1,000万円超・給与支払額が1,000万円以下である場合、当該特定期間の判定では給与支払額の指標を選択することで、免税事業者となることも可能ということになります。(反対に、課税売上高の指標を選択して、課税事業者になることも可能です。)

 特に、フリーランスの場合は給与の支払いがないケースも多い(自分の所得は給与に該当しない)ため、特定期間で課税売上高が1,000万円を超えたからといって、来年は必ず課税事業者になってしまうというわけではない点、留意が必要です。


 以上、消費税の課税事業者関する解説となりますが、いかがでしたでしょうか?当会計事務所では川崎市を拠点に法人・個人の確定申告書作成をサポートさせていただいております。日々の些細な税務相談は勿論、各種決算や税務に関するご相談があればいつでもお問い合わせ下さい。

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